寓話2
「一つの日本人絶滅」
21世紀
なにかをはっきり言いきるのが嫌いな日本人は
基本的に言葉に「ゃ」「ゅ」「ょ」「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」をつけて喋るようになった
「きょんにちわ」
「ぎょきげんよう」
「いみゃにゃにしちぇりゅにょ?」
「きょりぇきゃりゃ、ちょみょぢゃちにょちょきょりょにいきゅちょきょりょ」「わちゃしみょちゅりぇちぇっちぇ!」
滑稽なその発音は
直球に言葉を表現しない効果があると考えられた
その効果があらわれたのか
その言葉遣いに慣れない頃
日本の人々はよく笑った
もちろん始めは、せっかちな人が「にゃにいっちぇりゅきゃわきゃりゃん!」と言って怒ったりもした
その度人々は悲しいと思った
でもその悲しみすら「きゃにゃしいにぇ」と言ってしまえば
「ひぇんにゃいいきゃちゃ!」
人々は笑うことができた
幸せな時代だった
しかし
月日が過ぎ
21世紀も終わりに近づくと
その会話法は広く一般化して
日本人の通常会話発音として違和感なく使われるようになった
「ひぇんにゃいいきゃちゃ!」
そんな風に笑う人はいなくなっていた
そう
いつのまにか
20世紀日本人からすれば言いづらいそのしゃべり方も
「しにぇ!」
と言えば誰かを深く傷つけられるような
ストレートな表現として使えるようにもなっていたのだ
だから
22世紀
なにかをはっきり言いきるのが嫌いな日本人は
基本的に言葉に「ゃ」「ゅ」「ょ」「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」をあまりつけず喋るようになった
「こんにちわ」
「ごきげんよう」
「いまなにしてるの?」
「これから、ともだちのところにいくところ」
「わたしもつれてって!」
21世紀末の若者からすれば
「しょんにゃ、おじいちゃんおびゃあちゃんみちゃいにゃしゃびぇりきゃちゃ、ぢゃしゃい!」
と思うことだったが
20世紀から21世紀初頭のような発音法で
「しね!」
という風に言えば
それは22世紀今日の発音である「しにぇ!」よりも柔らかく聞こえるとして
かつての「ゃ」「ゅ」「ょ」「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」をあまり使わない発音法で
日本人はまた会話をするようになっていた
そうしてその滑稽な話し方で22世紀日本人は
はっきりと言い切るように表現することはせず
幸せに人々と暮らし続けたのである
しかしみなさん
お気づきだろうか
物事をはっきり言うのが嫌いな日本人は
もはやどこにもいなくなってしまったことを
どういうことか
日本人はいつのまにか
「しね!」や「ころす!」を
「しにぇ!」「きょりょしゅ!」を
はっきりとした印象で聞こえないことをいいことに
簡単にはっきり言えるようになってしまったのだ
発音を変え
印象を変えたところで
その言葉はその言葉
いつのまにか日本人は
印象と言うみのに隠れ
はっきり言い切る民族になっていたのだ
こうしてかつて言われてきた
「オブラートに包む」日本人は
絶滅したのである
21世紀
なにかをはっきり言いきるのが嫌いな日本人は
基本的に言葉に「ゃ」「ゅ」「ょ」「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」をつけて喋るようになった
「きょんにちわ」
「ぎょきげんよう」
「いみゃにゃにしちぇりゅにょ?」
「きょりぇきゃりゃ、ちょみょぢゃちにょちょきょりょにいきゅちょきょりょ」「わちゃしみょちゅりぇちぇっちぇ!」
滑稽なその発音は
直球に言葉を表現しない効果があると考えられた
その効果があらわれたのか
その言葉遣いに慣れない頃
日本の人々はよく笑った
もちろん始めは、せっかちな人が「にゃにいっちぇりゅきゃわきゃりゃん!」と言って怒ったりもした
その度人々は悲しいと思った
でもその悲しみすら「きゃにゃしいにぇ」と言ってしまえば
「ひぇんにゃいいきゃちゃ!」
人々は笑うことができた
幸せな時代だった
しかし
月日が過ぎ
21世紀も終わりに近づくと
その会話法は広く一般化して
日本人の通常会話発音として違和感なく使われるようになった
「ひぇんにゃいいきゃちゃ!」
そんな風に笑う人はいなくなっていた
そう
いつのまにか
20世紀日本人からすれば言いづらいそのしゃべり方も
「しにぇ!」
と言えば誰かを深く傷つけられるような
ストレートな表現として使えるようにもなっていたのだ
だから
22世紀
なにかをはっきり言いきるのが嫌いな日本人は
基本的に言葉に「ゃ」「ゅ」「ょ」「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」をあまりつけず喋るようになった
「こんにちわ」
「ごきげんよう」
「いまなにしてるの?」
「これから、ともだちのところにいくところ」
「わたしもつれてって!」
21世紀末の若者からすれば
「しょんにゃ、おじいちゃんおびゃあちゃんみちゃいにゃしゃびぇりきゃちゃ、ぢゃしゃい!」
と思うことだったが
20世紀から21世紀初頭のような発音法で
「しね!」
という風に言えば
それは22世紀今日の発音である「しにぇ!」よりも柔らかく聞こえるとして
かつての「ゃ」「ゅ」「ょ」「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」をあまり使わない発音法で
日本人はまた会話をするようになっていた
そうしてその滑稽な話し方で22世紀日本人は
はっきりと言い切るように表現することはせず
幸せに人々と暮らし続けたのである
しかしみなさん
お気づきだろうか
物事をはっきり言うのが嫌いな日本人は
もはやどこにもいなくなってしまったことを
どういうことか
日本人はいつのまにか
「しね!」や「ころす!」を
「しにぇ!」「きょりょしゅ!」を
はっきりとした印象で聞こえないことをいいことに
簡単にはっきり言えるようになってしまったのだ
発音を変え
印象を変えたところで
その言葉はその言葉
いつのまにか日本人は
印象と言うみのに隠れ
はっきり言い切る民族になっていたのだ
こうしてかつて言われてきた
「オブラートに包む」日本人は
絶滅したのである
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